TRPGの定義と歴史(ボードゲーム・ビデオゲームとの違い)
9/13 2025
カテゴリー:TRPG入門ガイド編

1. TRPGとはどんな遊びか
TRPG(テーブルトークRPG)は、参加者が集まって会話をしながら物語を作っていく遊びです。
サイコロを振って行動の成否を決め、その結果によって物語が進んでいきます。
役割は大きく二つあります。
- ゲームマスター(GM):物語の舞台や状況を示し、登場人物や出来事を動かす役割
- プレイヤー(PL):その世界で登場人物を演じる役割
PLは「自分のキャラクターが何をするか」を宣言し、GMがその結果や新しい状況を描写します。
こうしたやり取りを繰り返すことで、世界は広がり、物語は形を持って進んでいくのです。
TRPGでは、勝ち負けよりも「物語を体験すること」が中心にあります。
思い通りにいった成功も、予想外の失敗も、その瞬間だけの出来事として楽しむことができる。
それこそが最大の魅力です。
2. ボードゲームとの違い
ボードゲームは、盤面やコマ、カードなどが用意されており、ルールや勝利条件もあらかじめ決まっています。
遊ぶたびに多少の差はありますが、全体の流れは設計者があらかじめ定めた枠組みに沿って進みます。
TRPGには、そのような枠がほとんどありません。
マップやカードがなくても遊べますし、行動の選択肢に制限はありません。
プレイヤーの一言で物語の方向性が変わることも珍しくないのです。
たとえるなら、ボードゲームは「舗装された道を歩く遊び」、TRPGは「道を描きながら歩く遊び」と言えるでしょう。
3. ビデオゲームとの違い
ビデオゲームにも「RPG」と呼ばれる作品は数多くありますが、仕組みは大きく異なります。
ビデオゲームでは、行動や結果はコンピューターが処理します。
映像や音楽による演出も豊かですが、プレイヤーの行動は基本的にプログラムで用意された範囲に限られています。
TRPGでは、その処理や演出を人間が担います。
行動の判定はサイコロやルールで決め、状況説明はGMが言葉で行います。
予定外の出来事にも、その場の発想で対応できるのです。
- 仲間だった敵と和解する
- 国の制度を変える
- 旅の目的を変える
そうした展開も、参加者全員が「面白い」と感じれば、その瞬間から物語に取り込まれていきます。
4. TRPGの歴史
TRPGの起源は、19世紀に行われた軍事演習や戦術シミュレーションにあります。
最初は「軍勢を指揮する遊び(ウォーゲーム)」でしたが、1960年代になると「一人のキャラクターを動かす」発想が生まれました。
1974年に登場した『ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)』は、その発想を形にした最初のTRPGです。
プレイヤーは戦士や魔法使いとなり、迷宮を探索し、成長していく。
この仕組みは瞬く間に世界中に広まり、TRPGという新しい遊びが確立しました。
その後、ジャンルはSF、ホラー、サスペンス、コメディなど多彩に広がります。
日本でも1980年代後半に広まり、『ソード・ワールドRPG』や『クトゥルフ神話TRPG』が特に広く知られるようになりました。
5. 現代のTRPG
現在、TRPGはオフラインでもオンラインでも楽しむことができます。
ボイスチャットやチャットツール、オンライン専用のダイスやマップ共有機能など、環境は大きく整ってきました。
近年では『ココフォリア』・『ユドナリウム』・『TRPGスタジオ』といったTRPG特化ツールも登場しており、むしろ「TRPGはオンラインでやるもの」という認識の人もいるかもしれません。
しかし、どれだけデジタル化が進んでも、TRPGの本質は変わりません。
それは「人と人とが会話で物語を作る遊び」であるということ。
サイコロの出目やその場の会話が、その日だけの物語を生み出す。
この体験は、どんなに精巧な映像や音響を備えたゲームでも再現できない、TRPGならではの魅力なのです。
最終更新日:2025年9月13日