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1. TRPGは自由だ、でも『まったくの白紙』ではない

TRPGはよく「何をしてもいい自由なゲーム」と言われる。
たしかに、プレイヤーの行動に制限はない。
『ドアを開ける』・『ドアを開けない』・『爆破する』・『全部諦めて踊り出す』、すべて選択できる。

でも、TRPGには『シナリオ』がある。
つまり、物語の『土台』は、ある程度用意されている。

それらをまったく無視して暴れまわっても、たしかにゲームは進む。
でも、その結果「セッションが破綻する」「全員の時間が無駄になる」ことだってある。

つまり、自由に遊ぶためには、『その場がどんな時間なのか』を感じ取る必要がある。


2. 「意図を読む」は「メタ読み」じゃない

ここで言う「意図を読む」とは、「このシーン、黒幕が出てくる伏線だな」とか「このNPC、たぶん裏切るな」とか、そういう『推理』のことではない。

もっとふわっとした、空気の読み取りだ。

そういう、『その時間の意味』を感じ取る力。
それこそが、TRPGにおける「意図を読む力」だ。


3. この力がある人は、動線にスッと乗れる

TRPGでは「動線」がとても大事だ。
GMは、プレイヤーが物語の進行にスムーズに乗れるよう、さまざまな『誘導』を仕掛ける。

これらは「次、こっちに進んでね」という道しるべなのだが、意図を読み取れない人は、これを無視して脱線する。

「気づけなかった」というより、「今、このセリフの意味を考えるべき時間なんだ」と思えない。

逆に、意図が読める人は「お、これは何かあるな」「じゃあ、そっちを選んでみよう」と、自然に動線を拾っていける。

これは、『空気を読む力』に非常に近い。
日常会話で「今、これ以上ツッコんだら空気が壊れるな」と察する感じと、よく似ている。


4. 鍛える方法は『シナリオを意識して見ること』

じゃあ、この「意図を読む力」はどう鍛えればいいのか。

正直、ある程度は経験と観察だ。

特に有効なのは、自分でシナリオを書いてみること。
すると、「ここで怖がってほしい」「ここで笑ってほしい」と思って書いたのに、いざ回すとぜんぜん伝わらない場面に出くわす。

そのとき初めて、「意図を感じ取ってもらうって難しいんだな」と実感できる。


最後に

TRPGは、好きに動いていいゲームだ。
でもその『自由さ』は、空気を読む力の上に成立している。

そんなささやかな『察し』が、卓の空気を整え、物語を前に進める。

「意図を読む」とは、物語に敬意を払い、場の演出に協力する姿勢でもある。

派手なロールや演技じゃなくても、そういう気遣いができる人こそ、「一緒に卓を囲みたい」と思われるプレイヤーになる。


最終更新日:2025年8月27日