CoCにおける『探索者』は『一般人』なのか
7/19 2025
カテゴリー:GM・物語との関わり編

1. 一般人ロールを貫くと、話が進まなくなることがある
CoCの探索者って、たしかに設定上は『一般人』だ。
警察官でも記者でも教授でも、基本的には『神話的存在を知らない人間』。
だから、時々見かける。
- 『そんな怪物、普通信じないですよ』
- 『他人の家に勝手に入るなんて、一般人はしません』
- 『僕のキャラ、そういうのには関わらない性格なんで』
たしかに、『リアルっぽさ』はある。
でもその「リアルさ」、物語を止めてしまうリアルさじゃないだろうか?
セッション中ずっと、『怖いので逃げます』『信じられないのでスルーします』と言い続ける探索者に、誰がついていきたいと思うだろうか?
2. 『キャラを守る』と『卓の流れに乗る』は両立できる
『うちの子はそういうのやらない』って言いたくなる気持ち、すごくわかる。
愛着があるキャラだし、矛盾する行動をさせたくない。設定がブレたくない。
でも、ここで考えてほしい。
- このキャラが流れに乗るには、どんな動機や理由があればいいか?
- どうすれば、納得して動けるようにできるか?
それが考えられる人は、もう一歩上手いプレイヤー。
たとえば…
- 『最初は乗り気じゃなかったけど、仲間が危ないと知って動く』
- 『理屈じゃ信じられないけど、感情で納得してしまう』
- 『逃げることで自分が嫌になり、覚悟を決めて戻ってくる』
『説得されて変わる』ロールはとても美しい。
それを演じられる人は、キャラに深みを与えることができる。
3. TRPGは自由なゲーム、でも『GMに従う』のが前提
『TRPGは自由な遊びです』
これはよく聞く言葉だし、間違ってない。
でもそれ、『参加者全員が同じ物語を進める』
という前提のうえに成り立つ自由であることを、忘れてはいけない。
- 『うちのキャラは絶対動かない』
- 『自分のスタイルに合わないので参加しません』
- 『納得できないから協力しません』
こういう姿勢が続くと、物語のエンジンは止まってしまう。
自由とは、「何をしてもいい」ことではなく、「空気を読みながら選べる」こと。
だからこそ、『物語のために、自分をちょっと動かしてみる』勇気が必要なんです。
4. 『キャラのこだわり』は、柔軟性があってこそ『美徳』になる
『こだわり』があるのは、素晴らしいことだ。
でも、それが卓の進行や共演者とのやり取りを阻害してしまうとしたら──
それはもう『こだわり』ではなく、『融通の効かない人』になってしまう。
そしてやっかいなことに、そういう人ほど自分のことをこう思ってる。
- 『俺はちゃんとロールしている』
- 『キャラ崩壊は絶対に許さない』
- 『このプレイスタイルがリアルなんだ』
でも、『リアルっぽさ』を重視するあまり、
誰とも物語を共有できないなら、それはもはや『一人芝居』だ。
最後に
探索者は『一般人』かもしれない。
でも、『一般人としての葛藤を描きながら、物語に参加できる存在』だと思う。
ただ怖がるだけなら、逃げるだけなら、プレイヤーがいる意味はない。
『それでも動く理由』を考え、演じ、見せることが、プレイヤーの仕事。
だからこそ、『一般人ロール』を言い訳にしないでほしい。
ちゃんと演じた上で、物語を進められるプレイヤーは、間違いなく『信頼される共演者』になる。
TRPGは、あくまで『共演』なのだから。
最終更新日:2025年7月19日