『化け物PC』は外に出すな
5/24 2025
カテゴリー:キャラクター論・設定運用

1. 「化け物PC」は、特殊条件の中で生まれる
TRPGでは、ごく稀に 『化け物PC』 が誕生することがある。
これは通常のキャラ作成ルールでは作れないような存在だ。
- HO(ハンドアウト)で最初から人間を逸脱している
- セッション中に呪いを受けて異形化する
- 死んで蘇ったり、神話的存在に変貌する
- 全身が武器になったり、時間を止めたり、見るだけでSANが減ったり
要するに、「これはもはやプレイヤーキャラじゃないでしょ」と言いたくなるような存在です。
でも、それが許されるのは、あくまでその卓の中での話。
2. 外部に出しても、誰もついてこられない
この『化け物PC』たちを、まるで戦利品のように他所に持ち出す人がいます。
- SNSで「やべぇPC爆誕www」
- 「このキャラ、狂いすぎててマジおもろい」と自慢する
- イベントなどで「昔使った最強PCなんですけど」などと登場させる
でも、それ、誰にも伝わってないです。
そのキャラが成立するために
- どんな文脈があったか
- どれだけの関係性が育まれていたか
- どれほど卓内で『丁寧に支えられていたか』
それが全部あって、やっと『面白い』になっていたはず。
たとえるなら、大学生の内輪ノリで「こいつマジやばいww天才ww」と言われてる奴がいて、実際見てみたら「ただうるさいだけの奴」だった──そういうことは、よくあります。
化け物PCも同じです。
3. 内輪ノリで完結していたからこそ愛された
「でもこのPC、あの卓ではウケたし盛り上がったんです!」という反論があるかもしれません。
そしてそれは事実かもしれません。
でもそれは、『その卓の空気』があったから成立した笑いであり、『その卓で積み上げられた物語』があったから感動した存在。
つまり、<『内輪で完結していたからこそ成立していた』 ということ。
それを切り取って外部に持ち出すと、ノイズでしかなくなってしまいます。
4. 「化け物」は、その物語の中で眠らせてあげよう
化け物PCが誕生した卓は、たいてい忘れられないセッションになっている。
狂気も、笑いも、神話も、バカバカしさも全部詰まった『特別な回』だったりもする。
だからそのキャラはもう、そこで完成している。
無理に使い回さなくていい。
無理に「誰かに見せたい存在」にしなくていい。
それは「誰にも通じない内輪ネタ」を、全国区に流すようなもの。
受け手がいないなら、それはもう『独りよがり』です。
化け物PCは、『あの物語の中でだけ生きていた幻』として、そっと棚に飾っておくくらいがちょうどいい。
最後に
化け物PCは、セッション内で許可されているのであれば悪いものじゃありません。
むしろ、TRPGの「何が起こるか分からない」楽しさの象徴だと思います。
でもそれは、卓の中で生まれ、卓の中で完結するからこそ意味がある。
卓の外に持ち出すならその『文脈』ごと運ぶこと。
それができないなら、無理に見せびらかす必要はありません。
そのPCが面白かったという記憶は、仲間との間にだけあれば充分です。
最終更新日:2025年8月10日