1. 「化け物PC」は、特殊条件の中で生まれる
TRPGでは、ごく稀に “化け物PC” が誕生することがあります。
これは通常のキャラ作成ルールでは作れないような存在で、
- HO(ハンドアウト)で最初から人間を逸脱している
- セッション中に呪いを受けて異形化する
- 死んで蘇ったり、神話的存在に変貌する
- 全身が武器になったり、時間を止めたり、見るだけでSANが減ったり
──要するに、「これはもはやプレイヤーキャラじゃないでしょ」と言いたくなるような存在です。
でも、それが許されるのは、あくまでその卓の中での話。
2. 外部に出しても、誰もついてこられない
この“化け物PC”たちを、
まるで戦利品のように他所に持ち出す人がいます。
- SNSで「やべぇPC爆誕ww」
- 「このキャラ、狂いすぎててマジおもろい」と自慢する
- イベントなどで「昔使った最強PCなんですけど」などと登場させる
──でも、それ、誰にも伝わってないです。
そのキャラが成立するために、
- どんな文脈があったか
- どれだけの関係性が育まれていたか
- どれほど卓内で“丁寧に支えられていたか”
それが全部あって、やっと“面白い”になっていたはず。
たとえるなら、大学生の内輪ノリで「こいつマジやばいww天才ww」と言われてる奴がいて、
実際見てみたら「ただうるさいだけの奴」だった──そういうことは、よくあります。
化け物PCも同じです。
3. 内輪ノリで完結していたからこそ愛された
「でもこのPC、あの卓ではウケたし盛り上がったんです!」
という反論があるかもしれません。
そしてそれは事実かもしれません。
でもそれは、“その卓の空気”があったから成立した笑いであり、
“その卓で積み上げられた物語”があったから感動した存在。
つまり──
“内輪で完結していたからこそ成立していた” ということ。
それを切り取って外部に持ち出すと、
ノイズでしかなくなってしまいます。
4. 「化け物」は、その物語の中で眠らせてあげよう
化け物PCが誕生した卓って、たいてい忘れられないセッションになっている。
狂気も、笑いも、神話も、バカバカしさも全部詰まった“特別な回”だったりする。
だから、そのキャラはもう、そこで完成している。
無理に使い回さなくていい。
無理に「誰かに見せたい存在」にしなくていい。
それは「誰にも通じない内輪ネタ」を、全国区に流すようなもの。
受け手がいないなら、それはもう“独りよがり”です。
化け物PCは、“あの物語の中でだけ生きていた幻”として、
そっと棚に飾っておくくらいがちょうどいい。
最後に
化け物PCは、悪いものじゃありません。
むしろ、TRPGの「何が起こるか分からない」楽しさの象徴だと思います。
でもそれは、卓の中で生まれ、卓の中で完結するからこそ意味がある。
卓の外に持ち出すなら、その“文脈”ごと運ぶこと。
それができないなら、無理に見せびらかす必要はありません。
そのPCが面白かったという記憶は、仲間との間にだけあれば充分です。
最終更新日:2025年5月24日