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1. この卓は『誰のための時間か』を考える

TRPGの見学は楽しい。
他人のロールプレイを間近で見られたり、シナリオの流れを体感できたり、自分のプレイの参考にもなる。
だからこそ、見学を歓迎してくれる卓は多い。

でも、忘れてはいけないのが、セッションはあくまで「参加者のための時間」だということ。

見学者が1人増えるだけで、場の空気は少なからず変わる。
いい意味でも悪い意味でも、そこに『影響』が生まれる。
だから見学には、「いるだけで責任が発生する」前提を持っておく必要がある。


2. 「全員の了承」を得るのは絶対条件

見学を希望するなら、必ずGMとPL全員の許可を取ること。
『1人でも嫌がったら見ない』
これが大前提だ。

「どうしても見たいから」としつこく食い下がるのは論外。
断った側が気まずくなるような空気を作るのもマナー違反だ。

見学は権利ではない。 「その場に招かれている」立場であることを忘れてはいけない。


3. 見学中は『観客』ではなく『空気』でいる

よくある誤解が、「盛り上げ役として見学に入る」という考え方。
だが、セッションの盛り上げは参加者のやり取りの中で自然に生まれるものだ。

見学者の理想は『観客』よりもさらに存在感を薄めた『空気』。

場を壊すのは、大声で乱入することだけではない。
「一言くらいなら」と思った発言が空気を変えることもある。


4. 感想戦や雑談は『話題泥棒』にならないように

セッション後の感想戦や雑談は、見学者も参加できる時間だ。
でも、そこでやってしまいがちなのが「自分語り」

似た展開を経験したことがあっても、いきなり過去卓の話をし始めると、話題の主役がすり替わってしまう

さらに、他人の行動への上から目線のコメントも厳禁だ。

こうした言葉は、見学者だからこそ簡単に言えてしまう。
でも言われた側は、たとえ軽口でもモヤッとするものだ。


5. 『通行人』としての距離感を忘れない

見学者は、例えるなら「卓をやっている家の中を、窓の外からそっと覗いている通行人」だ。
足を踏み入れていない以上、物語の中には入らない。
ただ静かに、その光景を見せてもらっている
それくらいの距離感がちょうどいい。

見学は受け身の立場だからこそ、感謝とリスペクトが重要だ。
「見せてもらっている」という意識を持てる人は、自然と場を守る側にも回れる。


最後に

セッション見学は、ただの傍観ではない。 そこには『空気を壊さない責任』がある。

見学者が快く受け入れられる場は、結局のところ、その人が「見せてもらう側の作法」を心得ているから成立している。

だからこそ、喋らないくらいでちょうどいい。
目立たず、静かに、でも心の中では盛大に拍手を送る

それが、TRPG見学のいちばん美しい形だと私は思う。


最終更新日:2025年8月24日