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1. ハンドルネームは『もうひとつの本名』

ハンドルネーム──通称HN。
これは単なるニックネームではなく、ネット上でのもうひとつの『本名』みたいなものだ。

私も、職場ではもちろん苗字で呼ばれるが、最近だとそれに次いで多いのがHNの『キョロ』。
学生時代の友人たちは昔のあだ名で呼んでくるので、下の名前で呼ばれることはほとんどない。

リアルの名前は親からもらうものだが、HNは自分で名乗る名前だ。
「名乗っていいよ」なんて許可を誰からもらわなくても、ある日いきなり「私、今日から〇〇です」と言って、それを周囲が普通に受け入れてくれる。
この文化、実はすごく特殊で面白い。

それに慣れすぎてるけど、考えてみてほしい。
『自分の呼ばれ方を、完全に自分で決められる体験』って、リアルではあまりない。

そして他人も、それを疑問なく呼んでくれる。
これ、ネット文化が持つ懐の深さのひとつだと思う。


2. 由来も変遷も、人それぞれの「自己紹介」

HNの由来を聞くと、その人の人格がよく出る。

私もHNは何度か変えてきた方で、TRPG界隈での名前は『キョロ』。由来は以下の通り。

という、なんともまあ適当なものだ。

でもそういう『なんとなく捨てきれない名前』って、ある意味当時の自分が何を面白がっていたかの記録でもある。


3. 名前でスベると、誰も寄ってこなくなる

自由に決められるがゆえに、HNには落とし穴もある。

たまに見る、「これ他人に呼ばせる気ゼロだろ」って名前。
面白いと思ってつけたのかもしれないが…

本人は楽しいのかもしれないが、他人は呼ぶたびに地味にストレスを感じる。

HNは、主には自分が使うためのものじゃなく、他人が呼ぶもの。
そして、『呼ばれ続けることで意味を持つ』のがHN。

だからウケ狙いでもいいけど、「呼ぶ側のことを考えてるかどうか」は結構重要。
事実、名前でスベった人はなんとなく孤立しやすい。
それがHNの世界の残酷さでもある。


4. 変えられることは強さでもある

リアルの名前と違って、HNは変えられる。
しかも、あっさりと。

気に入らなくなったらリセットしてもいいし、界隈が変わったら衣替えするのもあり。
HNに過去の黒歴史を背負わせ続ける義務はない。

ただ、だからといって何度も使い捨てしていると、『HNの信用』っていう意外と大きな資産を失う。

「ああ、この人また名前変えたんだ」って思われた後、それまでの実績も繋がりも全部『なかったこと』にされる危険すらある。

だからこそ、HNを変えるならそれなりの理由と、変えた後の自覚を持つべきだ。

ちなみに、今回の記事を書くにあたって某所で「過去に1度以上HNを変更した事があるか(高校生以上対象)」についてアンケートを取ってみた。

ちょうど半々くらいだった。

意外と、最初のHNをずっと大事にしてる人も多いようだ。


最後に

自分が名乗ったその名前を、誰かが呼んでくれる。

それは、呼ばれ続けて初めて「名前」になる。

リアルの名前よりも、自分にしっくりくることもある。
でもそのぶん、リアルの名前以上に『自分が背負う名前』でもある。

名乗ることは、自分を見せることだ。
呼ばれることは、誰かとの関係を受け入れることだ。

名前は、他人に呼ばれることで意味を持つ。
そのことを忘れない人は、きっとHNとも長く付き合っていける。

ネットの世界では、あなたが何者かを決めるのはあなた自身だ。 その名に、とょっとだけでも思いやりを込めてくれたら嬉しい。


最終更新日:2025年9月8日