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1. TRPGは「会話のゲーム」=コミュ力が必要?

TRPGは、プレイヤー同士の会話で進んでいく遊びだ。
だからこそ、よく言われる。

たしかに、半分は正解だ。
けどもう半分は、けっこう危ない誤解だったりもする。


2. TRPGには『コミュニケーションのルール』がある

TRPGでは、キャラクターのロールプレイやプレイヤー間のやりとりにも『お作法』がある。
言うなれば、コミュニケーションに見えて、ほぼ定型のやり取りだ。

つまり、TRPG中の会話は「自由な会話」ではなく、「ルールに沿ったゲーム進行」だ。
これは、「苦手な人ほど安心して話せる」ようになっている一方で、自分が話せた=コミュ力が上がったと錯覚しやすい。


3. 現実のコミュニケーションとは何が違う?

TRPG中の会話は、たとえばこういう特徴がある

でも現実の会話は違う。

つまり、TRPG内の会話は『安心して話せるよう整備された会話』であって、『コミュニケーション能力の実地訓練』とはちょっと違う。


4. むしろ『現実のコミュ力』が求められる場面もある

じゃあTRPGに現実のコミュ力は不要か?というと、もちろんそんなことはない。

こういうのは、ゲーム中の『RP力』ではなく、ガチのコミュ力が問われる場面だ。
そしてこれができないと、どれだけRPが上手くても、なんとなく「一緒にやりにくい人」になってしまう。


5. 「TRPGが上手い人=コミュ力がある」とは限らない

これは大事な話なんだけど、TRPGが上手い人ほど『現実のコミュニケーションが上手い』とは限らない。

むしろ、
「卓上ではめちゃくちゃ話すけど、感想戦はほぼ喋らない」
「自キャラには愛情を注ぐけど、他PLの気持ちには無関心」
みたいな人も、けっこういる。

そして逆もまた然り。
「プレイ中は地味だけど、調整や感想のフォローが上手い人」が、卓全体をめちゃくちゃやりやすくしてくれていることもある。

コミュ力って、『喋る力』じゃなく、『空気に責任を持つ力』なんだと思う。


最後に

TRPGをやっていれば、たしかに会話には慣れる。
自分の思考を言葉にする力、他人の言葉に反応する力、それらは確かに磨かれる。

でもそれは、『決まった土俵でのやりとりが上手くなる』という話であって、現実のコミュニケーション能力が向上したとは限らない。

自信を持つことは悪くない。
でも、そこで慢心したらもったいない。

「コミュ力、上がった気がする」──それ、錯覚かもしれない。
でも、錯覚するくらいには楽しめたってことだ。

だからこそ、そこで止まらずに、もう一歩だけ進んでみよう。
『ロールプレイ』の外側にも、ちゃんと人がいる。
プレイヤーの空気を感じ取ること、声のトーンを拾うこと、ちょっとだけ気を配ること。

その力が育った時、はじめてTRPGは「コミュ力のトレーニング」になる。

ゲームじゃなくて、人と遊んでるってことを、たまには思い出そう。


最終更新日:2025年8月4日