『正論』が通じない時こそ、対話の出番
8/4 2025
カテゴリー:対人・コミュニケーション編

1. 「正しいこと」が通じない場面、あるよね
- 自分は間違っていない。
- 言っていることも、理屈も、筋も通っている。
- なのに、相手がまったく納得してくれない。
そういう場面に出くわしたことはないだろうか?
SNSでもリアルでも、「これ、100%こっちが正しいのに、なんで伝わらないの?」というやりとりを、私たちは何度も見てきたし、何度か経験してもきたと思う。
そして、そういう時に出てきがちなのが、
「もう何言っても無駄」
「話が通じない相手に時間を使いたくない」
という、ある種の『あきらめ』。
でも、ちょっとだけ立ち止まって考えてみてほしい。
正しさが届かないなら、『伝え方』を変えてみる余地はなかっただろうか?
2. 正論は、感情の上に置かれたら届かない
「正論を言ってるのに相手が怒る」って、よくある話だ。
でも、そこに感情のブロックがあると、どれだけ論理的に正しくても、言葉は届かない。
たとえば…
- 相手が傷ついているときに冷静な指摘をする
- 感情的になっている人にデータや根拠を突きつける
- プライドを傷つけたまま、理屈だけで詰める
これは、正論が『燃料』になってしまうパターンだ。
相手は「正しいかどうか」よりも、「この人に勝ちたい」とか「バカにされたくない」という本能で動いている。
このフェーズに入った相手にとって、正論は『答え』じゃなくて『攻撃』に見える。
3. 対話とは、『相手の地面に降りること』だ
じゃあどうすればいいのか。
一つの方法は、対話に切り替えること。
対話は、「理屈で黙らせる」ためのものじゃない。
「どこで噛み合っていないのかを、一緒に探る」ことだ。
- 相手が一番引っかかっているのは、何か?
- どの部分で『否定された』と感じたのか?
- 今の言葉で、何を守ろうとしているのか?
そこに目を向けてみると、相手の『言葉の表面』の奥にある、本当の感情が見えてくることがある。
そして、感情に寄り添われた正論は、ようやく『対話の材料』になる。
4. 「勝つ」んじゃなくて、「ほどく」
議論になると、どうしても『勝ち負け』の構図に陥りやすい。
でも、正論が通じないときに本当に必要なのは「論破」ではなく「解凍」だ。
- 相手の心をほどくこと
- 自分の正しさを『下ろして』話すこと
- 意見ではなく、背景を聞くこと
そうやって少しずつ、空気をあたためながら「話してもいいかも」と思わせる時間を作る。
対話とは、「理解を勝ち取る」のではなく、「理解が起きてもいいと思える空間」をつくる技術なのだ。
5. 『伝えたい』なら、伝わる手段を選べ
「自分は正しいことを言ってるのに通じない」と感じたとき、大事なのは「言った」ことより「届いたか」どうか。
正しさに自信があるなら、なおさら『伝える手段』の工夫を放棄しないでほしい。
- 丁寧に言う
- 感情に合わせる
- タイミングをずらす
- 言葉を選ぶ
それらは全部、「勝ちたいから」じゃなく「本当に伝えたいから」やることだ。
最後に
『正論が通じない』というのは、正しさの限界じゃない。
それは、「ここから先は対話が必要だよ」という合図だ。
強い正しさほど、伝え方を間違えると相手を傷つけたり遠ざけたりしてしまう。
だからこそ、『正しさに頼らず、関係をつなげる言葉』を持っていてほしい。
- 論破より対話。
- 説得より共感。
- 「勝ちたい」より「わかりたい」。
正論が通じなかったときこそ、あなたの本当の強さが問われている。
最終更新日:2025年8月4日