描写は『五感』を使う
11/27 2025
カテゴリー:演出・美学・語り口編
ChatPTによるこの記事の3行要約
- 視覚だけの描写は情報止まりで、五感を使うと体験として世界が立ち上がる。
- 音・匂い・触感を一つ足すだけで、没入感と感情の反応が大きく変わる。
- 五感は情報ではなく、PLの感情を直接揺さぶる装置だ。
1. 「暗い部屋」と「湿った空気と、カビ臭い匂いがする部屋」
あなたがGMをしていて、こんな場面を描写するとする。
「部屋に入ると、そこは暗い空間でした」
これで、伝わるだろうか?
確かに、情報としては伝わる。
部屋が暗い、ということは分かる。
でも、それだけだ。
では、こう言い換えてみたらどうだろう。
「部屋に入ると、湿った空気があなたの肌にまとわりつく。鼻をつくカビ臭い匂い。目を凝らしても、闇に何も見えない」
どちらの方が、その場にいる気がするだろうか?
後者だろう。
なぜなら、後者は「五感」を使っているからだ。
2. 人は「視覚」だけで世界を認識していない
TRPGで描写をするとき、多くの人はこんなふうに言う。
「古びた屋敷が見えます」
「錆びた剣が落ちています」
「怪しい男が立っています」
これらは全て、「見える」という視覚情報だけだ。
でも、現実の世界で何かを認識するとき、私たちは視覚だけを使っているわけじゃない。
- 音が聞こえる
- 匂いがする
- 風を感じる
- 地面の硬さを足で感じる
- 空気の温度を肌で感じる
私たちは、五感すべてを使って世界を感じ取っている。
TRPGでも同じだ。
視覚情報だけではなく、聴覚、嗅覚、触覚、味覚
五感を使った描写が、没入感を生む。
3. 五感を使うと、何が変わるのか
試しに、同じ場面を「視覚だけ」と「五感あり」で比べてみよう。
視覚だけの描写
「森の中を歩いていると、古い教会が見えてきます。壁は崩れかけていて、窓ガラスは割れています」
五感を使った描写
「森の中を歩いていると、湿った土の匂いが強くなる。足元の枯れ葉が、サクサクと音を立てる。やがて、木々の隙間から古い教会が見えてきた。ひんやりとした風が、あなたの頬を撫でていく。壁は崩れかけていて、割れた窓ガラスの向こうから、微かに金属が軋むような音が聞こえる」
どちらの方が、「そこにいる感じ」がするだろうか?
おそらく後者だろう。
視覚情報だけだと、まるで絵を見ているような感覚になる。でも、五感を使うと、自分がその場にいるような感覚になる。それが、没入感の違いだ。
4. 五感を、どう使うか
「五感を使おう」と言われても、具体的にどうすればいいか分からない人もいるだろう。
では、それぞれの感覚をどう描写に活かすかを見ていこう。
聴覚
音は、場の雰囲気を一気に変える力を持っている。
静かな屋敷なら、「床がきしむ音」「どこかで水が滴る音」「風が窓を揺らす音」。
賑やかな酒場なら、「グラスがぶつかる音」「笑い声」「誰かが歌っている声」。
音を加えるだけで、場面が動き出す。
嗅覚
匂いは、記憶と強く結びつく感覚だ。
五感の中で、一番記憶に残りやすいのは匂いだとも言われている。
「血の匂い」と言われれば、PLはすぐに危険を感じる。
「焼きたてのパンの匂い」と言われれば、安心感が生まれる。
「腐った匂い」「甘い香り」「潮の匂い」
匂いは、言葉だけで空気を変える。
触覚
肌で感じるものを描写する。
「冷たい風」「湿った空気」「ざらついた壁」「ぬるぬるした地面」。
触覚は、PLが「その場にいる」感覚を強くする。
特に、温度や湿度の描写は効果的だ。
味覚
これは使いどころが限られるけれど、食事のシーンや毒を口にしたときなど、ここぞという場面で効く。
「苦い味が口に広がる」「甘ったるい後味」「舌がしびれる感覚」。
味覚は、生々しさを生む。
5. 全部を使う必要はない
「五感全部を、毎回使わなきゃいけないの?」
こう思った人もいるかもしれない。
全部を使う必要はない。
毎回、視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚を全部盛り込んだら、描写が長くなりすぎて逆に冗長になる。
大事なのは、「視覚だけに頼らない」ということだ。
例えば、「暗い部屋」を描写するとき、視覚だけだと「暗い」で終わってしまう。
でも、そこに聴覚を加えて「どこかで水が滴る音がする」と言うだけで、情景が浮かぶ。
嗅覚を加えて「カビ臭い匂いがする」と言うだけで、その場の湿度や古さが伝わる。
一つか二つの感覚を足すだけで、描写は格段に良くなる。
6. PLも、五感を使っていい
五感を使うのは、GMだけじゃない。
PLも、自分のロールプレイに五感を使っていい。
「扉を開けます」だけじゃなくて、「扉に手をかけると、冷たい金属の感触がすると思います。それに少しびっくりしながらも、古い蝶番がギィと軋む音と共に、扉を開けます」と描写する。
「NPCと握手します」だけじゃなくて、「長い間、誰とも触れ合っていなかったような冷たいNPCの手を…」と描写する。
こうやって、PLが五感を使った描写をすると、GMも乗ってくる。
そして、卓全体が「五感で語る空間」になっていく。
7. 五感は、感情を呼び起こす
五感を使った描写が強力なのは、それが感情を呼び起こすからだ。
「暗い部屋」と言われても、PLは「ああ、暗いんだな」と思うだけだ。
でも、「湿った空気があなたの肌にまとわりつく。カビ臭い匂いが鼻をつく」と言われたら、PLは「うわ、気持ち悪い」「なんか怖い」と感じる。
「敵が現れます」と言われても、PLは「じゃあ戦闘だな」と思うだけだ。
でも、「背後から、何かが這いずる音が聞こえる。鼻をつく、腐肉の匂い」と言われたら、PLは「やばい、逃げたい」と思う。
五感は情報じゃない。感情だ。
視覚情報だけだと、PLは「情報」として受け取る。
でも、五感を使うと、PLは「体験」として受け取る。
それが、没入感の正体だ。
8. 「五感で語る」を習慣にする
最初のうちは、五感を使った描写は難しいかもしれない。
「今、どんな音がする?」
「今、どんな匂いがする?」
「今、どんな感触がある?」
そうやって、自分に問いかける習慣をつけるといい。
慣れてくると、自然に五感が描写に入ってくるようになる。
「暗い部屋」と言おうとしたとき、「あ、匂いも加えよう」と思えるようになる。
「敵が現れる」と言おうとしたとき、「音も入れよう」と思えるようになる。
五感で語ることが、習慣になる。
そうなったとき、あなたの描写は格段に良くなっている。
最後に
TRPGは、想像の世界だ。
そこには、本物の景色も、本物の音も、本物の匂いもない。
でも、だからこそ、私たちは言葉で世界を作らなきゃいけない。
「暗い部屋」と言うだけじゃ、PLの頭の中に世界は生まれない。
でも、「湿った空気と、カビ臭い匂いがする部屋」と言えば、PLの頭の中に世界が浮かび上がる。
五感を使う。
視覚だけじゃなく、聴覚も、嗅覚も、触覚も、味覚も。
それが、TRPGの世界をリアルにする。
そして、PLたちをその世界に引き込む。
最終更新日:2025年11月27日

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