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1. クトゥルフ神話TRPGが『拡大』した理由

クトゥルフ神話TRPG(CoC)はここ数年で、日本のTRPG界隈でも圧倒的な認知度と人口を誇るタイトルになりました。
その最大の要因は、やはりリプレイ動画文化の存在でしょう。

動画サイトでバズったセッションや、魅力的なPL・KPたちの存在によって、「TRPGを知ったきっかけがCoC」という人は非常に多くなりました。

しかもそれらの多くが、『いわゆる神話的恐怖の探索』とは一線を画すものだったのも特徴です。

このように、「神話的存在が出てこないCoC」ですら、ごく自然に、そして受け入れられる形で広まっていきました。


2. 『CoC』という名前が持つ安心感

CoCというシステムは、現代を舞台にした汎用性の高いルールで構成されています。
それゆえ、ホラーじゃない物語をやるにも都合が良い。

さらに、プレイヤーの多くがルールや進行に慣れているため、「新しいTRPGシステムを覚えてもらうより、CoCでやった方が話が早い」という状況が生まれます。

たとえば──

こういった背景から、クトゥルフ神話TRPGは『汎用システム』として扱われる傾向が強くなりました。


3. 『何でもできる』からこそ、齟齬も起こりやすい

このような多様化・自由化に賛否両論あるとは思いますが、私個人的の意見としてはとても良いことだと思っています。

TRPGという文化の裾野が広がり、参加者が増え、遊びの幅も広がる。
これは界隈にとって間違いなく『プラス』です。

……ですが、その自由度が高まったからこその落とし穴も存在します。

どれも、『同じシステムで遊んでいる』のに、目的が全く噛み合っていない状態

そしてその齟齬は、セッション中に埋めるのが非常に難しい。
時には空気が悪くなったり、「自分だけ浮いてる」と感じたり、最悪トラブルに繋がることもあります。


4. 多様性を守るために、最初のすり合わせを大事にしよう

「クトゥルフ神話TRPG」というシステムが『何でもできる』ものになってきた今、最も大切なのは『何をやるのか』を明確にすることです。

これはGMだけでなく、PL同士でも共有しておくべき感覚です。
「同じシステムを使っている=同じ遊びをしている」とは限らないからです。


最後に

クトゥルフ神話TRPGは、かつてないほど多様な顔を持つようになりました。
それはとても喜ばしい変化です。

でも、『多様になったからこそ、意思のすり合わせが前提になる』ということも、忘れてはいけません。

「この卓では、何をしたいのか」
「この物語に、どんな感情を持ち込むのか」
──その確認を、怠らないように。

それだけで、CoCの『自由で豊かな遊び方』は、もっと安全に、もっと楽しくなっていくはずです。


最終更新日:2025年5月18日