TRPGは、SNSよりも承認欲求をこじらせる
8/4 2025
カテゴリー:その他・個人のこと/語りの間

1. TRPGは、承認欲求のガソリンスタンドである
TRPGは、承認欲求を満たすのに都合が良すぎる。
- 自分のキャラが褒められる
- ロールプレイで笑ってもらえる
- 展開に食い込んだら「うまい!」って言われる
- 回収した伏線にみんなが驚いてくれる
これら全部が、ドバドバ脳に流れ込む承認の麻薬だ。
しかもSNSみたいに反応を待たずとも、その場で、目の前で、濃厚なリアクションが返ってくる。
それに慣れるのは簡単だ。
そして抜け出すのは、めちゃくちゃ難しい。
2. 日常生活よりも『満たされてしまう』
考えてみてほしい。
日常で、あなたの言葉に誰かが真剣に耳を傾けてくれる時間って、どれくらいある?
あなたのアイデアに対して、その場で称賛と笑いと拍手が返ってくる瞬間なんて、どれくらいある?
TRPGでは、それが『当たり前のように』起こる。
つまり、TRPGは「現実よりもずっと、自分が特別になれる場所」だ。
それを一度味わってしまったら、「普通の生活」なんて色あせて見えるのも仕方ない。
3. でも、それに『慣れた瞬間』から、壊れ始める
最初はただ楽しかったはずなのに、だんだんと、変わっていく。
- 褒められないとモヤモヤするようになる
- 他のPLが目立つと、内心ザワザワする
- ロールプレイが『見せ場づくり』に変わる
- セッション後、反応を確認するためにDiscordやXを何度も開く
それはもう物語じゃなくて、『評価の場』としてTRPGを見てるということだ。
そして気づけば、『褒められること』が目的になっている。
4. 承認欲求に溺れたPLは、見てられない
ここまで来ると、もう手遅れだ。
- 「俺のキャラすごくない?」とアピールが止まらない
- 「今日どうだった?」と人の感想に匂わせを仕込む
- 終いには、キャラクターに声を当てたサンプルボイスをSNSに上げ始める
個人の自由だろといわれればそれまでだが、マジでやめとけ。デジタルタトゥーになるぞ。
TRPGは『推し活』でも『舞台』でもない。
複数人で行う遊びだ。
5. 「努力も実力もないのに、褒められたい」──それが一番ダサい
承認欲求が強いのは別にそこまで悪くない。
でも、
- プレイの質も低い
- 他人への気遣いもない
- ただ“自分が目立ちたい”だけ
そんな人間に、承認が与えられる理由なんて、どこにもない。
承認は、『結果』として得られるものだ。
最初からそれ目的で卓に座ってはいけない。
努力もせず、実力もなく、それで「褒められないのはつらい」と言うのなら…
その人はTRPGの世界から一度離れた方がいい。
6. 本当に上手い人は、褒められようとしない
皮肉な話だが、本当に『うまい』ロールプレイをする人って、たいてい「誰かに褒めてもらおう」なんて思ってない。
- 他のキャラの感情に寄り添う
- 場の空気を読んで、自分の尺を抑える
- クライマックスを独占せず、余白を渡す
- 自キャラの矛盾や弱さも“描写”として見せられる
それが自然にできる人に、結果として拍手や称賛が集まる。
逆に、「俺を見てくれ!」ってやってる人ほど、だいたい寒い。
最後に
TRPGは楽しい。褒められたら嬉しい。
その時は素直に喜べばいい。
でも、それを当然と思った瞬間、全部が崩れる。
承認欲求は、燃料にもなるけど、爆薬にもなる。
使い方を間違えれば、卓を壊し、人を傷つけ、自分も空っぽになる。
だからせめて、
- 「自分がどう見られているか」ばかり気にしすぎないこと
- 「他人が目立つ瞬間」をちゃんと祝えること
- 「承認はあとからついてくるもの」だと忘れないこと
それが、気持ちよく遊び続けるための最低限のマナーだ。
最終更新日:2025年8月4日