ロールプレイは“演技”より“反応”

カテゴリ:プレイ姿勢・在り方編 / 筆者:キョロ

1. ロールプレイって、むずかしい?

TRPGを始めたばかりの人、あるいは中級者になって「もっとロールプレイを頑張りたい」と思った人が、最初にぶつかる壁のひとつが、「キャラになりきるって難しい……」という感覚だ。

キャラっぽく喋らなきゃいけない?
口調を作らなきゃいけない?
感情表現が豊かじゃないといけない?
──そう思ってしまうと、逆に言葉が詰まってしまう。

でも、安心してほしい。
ロールプレイに“上手な演技”は必要ない
必要なのは、“ちゃんと場に反応する”という、もっと素朴で、自然な力だ。

2. ロールプレイは「内側から出るもの」でいい

たとえば、キャラの前でNPCが泣いている。
プレイヤーのあなたも「これはつらいな……」と感じたとする。

そのとき、無理に長い慰めのセリフを言う必要はない。

たった一言、
「……ごめん」
でもいい。
あるいは、黙って肩に手を置く、でもいい。
その“反応”は、演技よりも深く場に届く。

TRPGのロールプレイは、
“感情を作って演じる”よりも、
“目の前で起きていることに対して、自分のキャラがどう感じたかをそのまま出す”ほうが、自然で強い。

つまり、あなたの「素直な気持ち」と「そのキャラならどう感じるか」が重なったところが、最も自然なロールプレイになる。

3. 上手に喋るより、場とやり取りする

「演技しなきゃ」と思うと、人は“ひとり芝居”になってしまう。
セリフを整えようとして時間がかかったり、
独白になって空気が止まってしまったり。

でも、TRPGはひとりでやる演劇ではない。
“やり取り”の中で物語を作っていく遊びだ。

だからこそ、意識したいのは、自分のキャラの番ではなく、「相手との掛け合い」という感覚。

相手のセリフに、どう感じた?
その描写を聞いて、胸のどこがざわついた?
今、この状況に、自分のキャラは動ける? 止まる? 黙る?

そういう小さな感情の波を、素直にセリフや動きに乗せる。
それだけで、場は確実に変わっていく。

「上手く喋る必要はない。ただ、そこに“居る”ことができればいい」
──それが、ロールプレイを重ねてきた人ほど実感していることだ。

4. 「演じよう」としなくていい。ただ、“感じて、返す”だけ

ロールプレイで大切なのは、「どう見せるか」ではなく、
「どう感じて、どう動くか」。

それは、演技というより、反応。
役者ではなく、“その場にいるひとりの人”としてのふるまい

だから、言葉に詰まってもいい。
黙っていてもいい。
怒りすぎても、泣けなくても、それでもいい。
“リアルな感情”は、整っていなくてもちゃんと伝わる。

ロールプレイがうまくできないと感じたとき、
「自分は喋るのが下手だから」と思わないでほしい。
大事なのは、ちゃんと場に耳を傾けて、自分のキャラとして受け止めようとしているかどうか。

その“受け止め”があるだけで、
あなたのキャラは、確かに“そこにいた”ことになる。

● 最後に

TRPGのキャラは、書いた通りに動く人形じゃない。
プレイヤーが「この場面に、自分のキャラがいたらどう感じるか」を素直に返したとき、
初めて生きて、動き始める。

ロールプレイは、“演技力”の披露じゃない。
場との反応の積み重ねこそが、物語の温度をつくっていく。

うまく演じようとする前に、
ちょっとだけ、目の前の出来事に心を寄せてみてください。

それだけで、ロールプレイはきっと変わります。

投稿日:2025年4月25日
最終更新日:2025年4月25日

▶ 次はこちらの記事もおすすめ


X ポスト