シーンの主役は回ってくるもの──“待つ力”の大切さ

カテゴリ:対人・コミュニケーション編 / 筆者:キョロ

1. 「出番がない」と感じる瞬間がある

TRPGのセッション中、「自分のキャラが活躍していないな」と感じる場面は、誰にでもある。
他のPCが事件の核心を突き止めたり、ロールプレイで卓を湧かせたりしている中で、
自分はただ隣に座っているだけのように思える時間。

そんなとき、ふと不安になる。

「このキャラ、空気になってないかな」
「何かしなきゃ、セリフを言わなきゃ」

そう思って無理に動こうとしてしまうこともある。

けれど、ここで大切なのは、“無理に出番を作ろうとしないこと”

TRPGにおいて、シーンの主役は“回ってくるもの”だ。
今、目の前にスポットライトが当たっていないだけ。
だからこそ、その間にできることが、実はたくさんある。

2. 誰かのシーンを“支える”という上級者の技術

TRPGは、ひとりの主人公が活躍するドラマではない。
全員が主人公であり、同時にお互いの“脇役”になれる物語だ。

今、仲間のキャラクターに感情の見せ場が来ているなら、
あなたの役目は“引き立て役”かもしれない。

・黙って頷く
・小さく声をかける
・何も言わずにそこに“いる”

そうしたリアクションが、物語の深度を支える。

目立つセリフや大きな動きがなくても、
そのふるまいが仲間のロールプレイをさらに引き立てる。

そして面白いことに、そういう人には自然と「次の主役」が回ってくる。

3. “出番を待つ”ことは、何もしないことではない

「待つ力」というと、受け身に聞こえるかもしれない。

でも実際には、
「今、誰が動いているか」
「どんな感情が支配しているか」
「どこで動くべきか」を“能動的に観察”している。

だから、本当に出番が来たときに、自然に入っていける。

焦って割って入ったり、過剰な動きをしてしまうと、
シーンは一瞬で“乱れ”てしまう。

“待つ”というのは、知性と信頼のあらわれなのだ。

4. あなたの静けさが、次の物語を支える

静かにしていた時間は、無意味じゃない。

誰かの葛藤を無言で支えたり、
暴走しそうな仲間を目配せひとつで止めたり──
そんな“小さな支え”が物語を豊かにしている。

そして何より、
「あの人、今日は静かだったけど、最後にすごく響くことを言ったよね」
──そんなふうに記憶されるプレイは、
本当に上級者らしい間の取り方の結果だ。

● 最後に

TRPGは、常に“全員が目立たなければならない”場ではない。

それぞれの時間があり、役割があり、交差していく。

今は誰かの物語を支える側に回る。
その選択も、立派なロールプレイ。

だから、焦らなくていい。
待っている時間は、あなたが“見ている”証。
そして、あなたが“支えている”証。

シーンの主役は、必ず回ってくる。

そのとき、しっかりと受け取れるように。
今はただ、静かに火をくべておこう。

それだけで、物語はきっと深く燃えてくれる。

投稿日:2025年4月25日
最終更新日:2025年4月25日

▶ 次はこちらの記事もおすすめ


X ポスト