「キャラ」ではなく「人間」を演じろ
5/25 2025
カテゴリー:キャラクター論・設定運用

1. キャラ設定では、まだ動かない
TRPGでキャラクターを作るとき、僕らは「設定」を組み立てる。
年齢、性格、口調、過去──そうして丹念に積み上げたものは、まるで完成された模型のように見える。
けれど、ゲームが始まってセッションが動き出した瞬間、その「キャラ設定」だけでは、探索者はまだ動かない。
紙の上にいたはずのキャラクターが、急に無機質に感じられてしまう。
なぜだろう?
それは、『人間』としての振る舞いが、そこに足りていないからだ。
2. ロールプレイは「感情の反応」から始まる
たとえば、突然の銃声。
設定に「冷静沈着」と書いてあるキャラなら、動じず判断を下すかもしれない。
でも、『人間』ならどうだろう?
- 反射的に息を飲む。
- 言葉が詰まる。
- 震える指で武器を構える。
こうした『瞬間的な揺れ』こそ、人間らしさの正体だ。
そこに正解はない。あっていいのは、「たしかに今ここにいる」と思える『存在感』。
- 無言になる
- 黙って隠れる
- うまく喋れない
──そういうリアクションが、「キャラ」から「人間」へと変わる瞬間を生む。
3. 『演じる』より『いる』を意識する
ロールプレイをうまくやろうとすると、「どう喋ろうか」「キャラっぽく言わなきゃ」と肩に力が入る。
でも、『演じよう』とするほど、不自然さは見えてしまう。
どこかで台本がちらつきはじめる。
大切なのは、自分の中にいるキャラを『そこに居させる』感覚だ。
「もし自分だったら?」ではなく、「このキャラが『人間だったら』何を感じ、どう動く?」という視点。
設定には書かれていないけれど──
- 夜中に眠れなくて天井を見ていた時間
- スーパーで惣菜を選ぶ手の動き
- 噛み癖のある指の爪先
そんな『生活のかけら』をそっと加えることで、キャラは息をし始める。
上手な演技は、いらない。
むしろ、言葉に詰まる瞬間こそが、もっとも深く伝わることだってある。
4. ブレるのは当たり前──だから、面白い
ロールプレイがうまくいかないと感じた時、「キャラがブレてしまったかも」と落ち込むことがあるかもしれない。
でも、それは悪いことじゃない。
むしろ、『人間』であればブレるのは自然なこと。
- 緊張して判断を間違える。
- 他人の言葉に心が動く。
- あえて理性ではなく感情で動いてしまう。
そういう『揺れ』があるからこそ、キャラは物語の中で生きる。
一貫性ではなく、納得できる変化。
設定の通りであることよりも、その場で感じたものに素直であること。
それこそが、「演じる」ではなく「存在する」ための道しるべになる。
最後に
TRPGは、架空の人生を一時的に借りる遊び。
せっかくなら、『キャラクターとして』ではなく、『人間として』そこにいてみてください。
設定に書かれたことよりも、その時、どう感じたか、どう迷ったか、どう決めたか。
その過程が、きっと物語の中で一番強く輝くはずです。
最終更新日:2025年4月25日