1. キャラシは、最初にGMが触れる“あなたのロールプレイ”
TRPGのセッションが始まる前、
GMが最初に出会うのは、あなたのキャラクターではない。
ましてやプレイ中のセリフや行動でもない。
最初に出会うのは、「キャラクターシート」だ。
そのたった1枚──あるいは数行のデータが、
GMにとっての「第一印象」になる。
- 名前の印象
- 経歴の書き方
- 一人称の選び方
- 特記欄の文体や長さ
- 過去の描き方、性格の記述
どれも「ゲームが始まってからでいい」と思いがちだけど、
GMはキャラシを通して、そのキャラが“どんな存在か”を想像し、
“このキャラにどう物語を届けよう”と考え始めている。
だからこそ、キャラシの“読みやすさ”は、
その時点ですでに“プレイの一部”になっているのだ。
2. 「伝えるつもり」の文章と、「伝わる文章」は違う
思い入れのあるキャラほど、たくさんの設定を書きたくなる。
世界観に絡めた壮大な背景、細かい性格、複雑な人間関係──
そのすべてが、きっと大切な創作だ。
けれど、“書いたものがそのまま伝わる”わけではない。
- 文が長すぎて読み切れない
- 改行がなくて目が滑る
- 読点が少なくて文のリズムが取りにくい
- 話し言葉と地の文が入り交じって混乱する
- 重要な情報が文末に埋もれている
こういった状態のキャラシは、
どれだけ中身が良くても、“受け取り手に届かない”。
「読んでもらうためのデザイン」もまた、
ロールプレイに入る前の“気遣い”なのだ。
3. 読みやすさは、“意図が伝わる安心感”をつくる
逆に、読みやすいキャラシというのは、
「この人、ちゃんとGMとのコミュニケーションを意識しているな」と伝わる。
- 一文ごとに意味を区切っている
- 設定を3行以内でざっくりまとめている
- 特記欄でGMに伝えたいポイントを“見出し風”にしている
- 台詞や口調の例がついていてキャラの印象が掴みやすい
- 「シナリオ中に拾ってくれると嬉しい要素」が明記されている
こういうキャラシを読むと、GMはすぐにこう思う。
「このキャラと、いい物語が作れそうだ」と。
そして、その安心感が、セッションの始まりを滑らかにする。
プレイヤーにとっても、それは“キャラを理解してもらえる土台”になる。
4. 読みやすさは、「やさしさ」から始まる
キャラシを綺麗に書くのは、スキルではない。
タイピングが速くなくてもいい。
文章力が高くなくてもいい。
必要なのは、ただ一つ。
「これは誰かが読むものだ」という意識。
その意識さえ持てれば、自然と以下のことができるようになる。
- 改行を入れる
- 大事なところは太字にする
- 不要に長い説明を削る
- GMが拾いやすいワードを選ぶ
- 他人にも読みやすい言葉を選ぶ
そのすべては、「あなたのキャラをちゃんと見てもらうための準備」であり、
GMや卓全体にとっての、大きな“思いやり”になる。
● 最後に
キャラシは、ただの申請用の紙ではない。
それは、“プレイの準備段階”で交わす、最初の対話だ。
どんなに魅力的な設定も、
どんなに情熱のこもったキャラでも、
伝わらなければ、そこにいないのと同じになってしまう。
だからこそ、提出する前に、ひと呼吸。
「これ、自分以外が読んだらどう感じるだろう?」
そのひと手間が、卓全体の空気を変える。
そして、物語の始まりを、もっと心地よくしてくれる。
最終更新日:2025年4月25日