1. 教えたがりは、想像以上に鼻につく
TRPG歴が長くなると、どうしても知識が増える。ルールも、マナーも、ロールプレイの技術も、自然と身につく。
そして、気がつくと、初心者にあれこれ「教えたくなる」瞬間が訪れる。
でもここで、どうか立ち止まってほしい。
──それ、本当に今、必要?
「こうしたほうがいいよ」
「このロールプレイはこうすべきだよ」
「そんなの常識だよ」
そういう言葉は、どんなに善意であっても、無意識に“上から目線”をまとってしまうことがある。
教えたがりは、本人が思っている以上に、周囲に鼻につく態度として映る。
2. 質問されたときだけ、答えればいい
じゃあ、どうすればいいのか。
答えはとてもシンプルだ。
「聞かれたときにだけ、答える」。
- 「この場合ってどうするの?」と聞かれたら、丁寧に答える
- 大きなルールの誤解があって、セッションに支障が出そうなら、やんわり伝える
それくらいで、充分だ。
必要以上にルールを押し付けない。自分の流儀を正解だと思わない。「教えてあげる」という態度を取らない。
初心者だって、自分なりに試行錯誤して遊びたいと思っている。
そして、自分から学びに来たときこそ、本当にその知識を吸収できる。
3. 「優しさ」のつもりが「支配」になっていないか
厄介なのは、こうした教えたがりの行動が、たいてい“善意”から出ていることだ。
- 失敗させたくない
- 恥をかかせたくない
- 早く一人前になってほしい
でも、それは本当に「優しさ」だろうか?
もしかしたら、「自分の理想に早く追いつかせたい」だけかもしれない。
相手のペースで、相手のやり方で、相手の失敗も含めて見守る。それが、本当の優しさだ。
TRPGは、「正解」に向かって遊ぶものじゃない。それぞれが、自分なりに物語を歩いていく遊びだ。
4. 教えるより、楽しむ姿を見せよう
本当に上級者らしいふるまいとは、あれこれ指導することじゃない。
- 自分自身が楽しんでいること
- 他人のロールプレイを温かく受け止めること
- ミスがあっても、柔らかく一緒に笑って流すこと
そうやって、「TRPGって楽しいよ」「自由でいいんだよ」という空気を背中で見せていくことだ。
教えるよりも、一緒に楽しく迷う。
その方が、ずっとずっと、初心者の心には響く。
● 最後に
上級者・中級者は、知識や経験を武器にするべきじゃない。
それは、必要なときだけ、そっと差し出すものだ。
「教える」のは、誇示するためじゃない。「寄り添う」ためにある。
だから、今、目の前にいる初心者に対して、あなたができる最高のことは──
ただ、安心して失敗できる空気を守ることだ。
最終更新日:2025年4月28日