セリフは短くていい──沈黙に意味を持たせる
5/3 2025
カテゴリー:プレイ姿勢・在り方編

1. 長ゼリフ=うまい、ではない
TRPGでロールプレイに慣れてくると、つい考えてしまう。
「かっこいいセリフを言わなきゃ」「長く喋らないと雰囲気が出ないかも」と。
でも、実際に印象に残るセリフというのは、意外なほど短くて、素朴な一言だったりする。
むしろ、セリフが長くなればなるほど、場の空気が止まりやすくなる。
他のプレイヤーが入る余地がなくなったり、タイミングを逃してしまったり、「聞いている」というより「聞かされている」感覚になってしまうこともある。
だからこそ、セリフは『短くていい』のだ。
2. ロールプレイは「会話」──相手と呼吸を合わせるもの
TRPGにおけるセリフは、『演技』ではなく『会話』であるということを、忘れてはいけない。
たとえば、映画や舞台でも、一番響くのは『掛け合い』だ。
一人の長ゼリフではなく、短いセリフの応酬の中で、キャラの感情や関係性が少しずつ立ち上がっていく。
TRPGでも全く同じ。
短く言うことで、相手に『返す余地』を残せる。
「……大丈夫?」
「やめとけって」
「信じてるよ」
──これだけで、空気は動く。
名言じゃなくていい。完結してなくていい。
場面と気持ちに合ってさえいれば、それはもう『伝わる言葉』だ。
3. 言葉が足りないからこそ、空気が伝わる
「言葉に詰まる」ということは、しばしば『失敗』のように感じられる。
でも実際には、詰まりや沈黙には、それだけで『感情の余白』がある。
怒りで声を張り上げるより、抑えたままの一言にこそ、説得力があることもある。
- あえて言葉にしない
- 目をそらす
- ためらう
- 言いかけてやめる
『言わないこと』で、むしろ感情が浮き上がるという現象は、ロールプレイの中でよく起きる。
セリフは、感情の『説明』じゃない。
むしろ感情の『きっかけ』として置いておくもの。
相手に届く言葉は、いつだって『感情を生むスペース』を含んでいる。
4. プレイヤーとして「伝える」より、「伝わる」を大切に
「うまく喋れなかったな」と思った時は、こう考えてみてほしい。
…それ、伝えようとしすぎてなかった?
セリフは、プレイヤーの自己表現であると同時に、卓の空気を作るための『素材』でもある。
- そのセリフは、場面を動かしているか。
- 相手のロールプレイを促しているか。
- 言葉に『返す余地』を残しているか。
そうやって、『響かせようとする言葉』より、『届く言葉』の方を、選んでみてほしい。
最後に
言葉を短くしてみる。
言い切らずに止めてみる。
相手の反応に任せてみる。
それだけで、セッションのリズムは大きく変わる。
そして何より、言葉が短いほど、相手があなたのキャラに『想像』を向けてくれる。
セリフは短くていい。
上手に語るより、空気を届けるプレイヤーが、物語を強くする。
最終更新日:2025年7月26日