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1. 長ゼリフ=うまい、ではない

TRPGでロールプレイに慣れてくると、つい考えてしまう。
「かっこいいセリフを言わなきゃ」「長く喋らないと雰囲気が出ないかも」と。

でも、実際に印象に残るセリフというのは、意外なほど短くて、素朴な一言だったりする。

むしろ、セリフが長くなればなるほど、場の空気が止まりやすくなる。
他のプレイヤーが入る余地がなくなったり、タイミングを逃してしまったり、「聞いている」というより「聞かされている」感覚になってしまうこともある。

だからこそ、セリフは『短くていい』のだ。


2. ロールプレイは「会話」──相手と呼吸を合わせるもの

TRPGにおけるセリフは、『演技』ではなく『会話』であるということを、忘れてはいけない。

たとえば、映画や舞台でも、一番響くのは『掛け合い』だ。
一人の長ゼリフではなく、短いセリフの応酬の中で、キャラの感情や関係性が少しずつ立ち上がっていく。

TRPGでも全く同じ。

短く言うことで、相手に『返す余地』を残せる。

「……大丈夫?」
「やめとけって」
「信じてるよ」

──これだけで、空気は動く。

名言じゃなくていい。完結してなくていい。
場面と気持ちに合ってさえいれば、それはもう『伝わる言葉』だ。


3. 言葉が足りないからこそ、空気が伝わる

「言葉に詰まる」ということは、しばしば『失敗』のように感じられる。
でも実際には、詰まりや沈黙には、それだけで『感情の余白』がある。

怒りで声を張り上げるより、抑えたままの一言にこそ、説得力があることもある。

『言わないこと』で、むしろ感情が浮き上がるという現象は、ロールプレイの中でよく起きる。

セリフは、感情の『説明』じゃない。
むしろ感情の『きっかけ』として置いておくもの。
相手に届く言葉は、いつだって『感情を生むスペース』を含んでいる。


4. プレイヤーとして「伝える」より、「伝わる」を大切に

「うまく喋れなかったな」と思った時は、こう考えてみてほしい。

…それ、伝えようとしすぎてなかった?

セリフは、プレイヤーの自己表現であると同時に、卓の空気を作るための『素材』でもある。

そうやって、『響かせようとする言葉』より、『届く言葉』の方を、選んでみてほしい。


最後に

言葉を短くしてみる。
言い切らずに止めてみる。
相手の反応に任せてみる。

それだけで、セッションのリズムは大きく変わる。

そして何より、言葉が短いほど、相手があなたのキャラに『想像』を向けてくれる。

セリフは短くていい。
上手に語るより、空気を届けるプレイヤーが、物語を強くする。


最終更新日:2025年7月26日