セッションに『余白』を与えると、ドラマが宿る
4/29 2025
カテゴリー:GM・物語との関わり編

1. セッションには「余白」が必要だ
「無駄なく行動したい」
「全部の時間を有効に使いたい」
そんな気持ちに駆られることがある。
でも、実は、セッションにとって一番大事なものはぎっしり詰まった情報量ではない。
『余白』だ。
- 誰かがふと黙った時間
- 何も起きない夜のシーン
- 無言で歩く移動の時間
- NPCと交わす、意味のない雑談
そんな「何も起きていない瞬間」にこそ、キャラクターたちの心や関係が、静かに、でも確かに育っていく。
2. 余白があるから、感情は動ける
感情は、常に物語の中心にあるわけじゃない。
「間」や「沈黙」の中でこそ、自然に立ち上がってくる。
- 事件の直後、ぽつりと漏らすひとこと
- 何もない夜に、キャラ同士がぽつんと並んでいる姿
- うまく言葉にできない感情を、視線だけで交わす瞬間
こうした『何もしない時間』が、キャラクターに血を通わせ、プレイヤーに「この物語は生きている」と思わせる。
ずっと事件を追って、謎を解いて、戦って──
それだけのセッションは、効率的ではあるかもしれない。
でも、「生きていた」手ごたえは、そこには宿りにくい。
3. 焦らないこと。無理に埋めないこと。
セッション中に沈黙が訪れると、つい焦ってしまうかもしれない。
- 「何か言わなきゃ」
- 「すぐに行動しなきゃ」
- 「間をもたせなきゃ」
──でも、焦らなくていい。
無理に会話を続けなくていい。
無理にRPを畳みかけなくていい。
沈黙は、空白ではない。
沈黙もまた、『場に存在している』感情のひとつだ。
だから、
- 『動かないキャラ』がいてもいい。
- 『何も言えないキャラ』がいてもいい。
焦らず、場に流れる空気を受け止めるだけで、そのセッションには静かなドラマが生まれている。
4. 余白を受け入れた卓は、強くなる
余白を怖がらない卓は、一つひとつのシーンに、自然な深さが出てくる。
- 仲間のセリフに、じっと耳を傾ける
- 自分が言葉に詰まったとき、無理に話を続けず、キャラの戸惑いに任せる
- 事件が起きていない日常パートを、キャラ同士の『何気ない時間』として楽しむ
こういう余白が積み重なっていくと、卓の空気はだんだんと柔らかく、でも力強くなっていく。
そして、ふとした瞬間に、
「あ、この卓、すごく生きてる」
そんな実感が、自然と胸に湧いてくるようになる。
物語は、作業ではない。
キャラクターたちが、「生きている」ことそのものだ。
最後に
セッションを動かすのは、行動やセリフだけじゃない。
『間』があり、
『沈黙』があり、
『余白』があるからこそ、
物語は深く、豊かに育っていく。
だから、焦らないで。
すべてを埋め尽くさなくていい。
一瞬の静けさを、どうか怖がらないで。
その沈黙こそが、キャラクターを育て、物語を支え、
あなたたちのセッションに、本物の『ドラマ』を宿してくれる。
最終更新日:2025年7月27日