1. セッションには「余白」が必要だ
TRPGをしていると、
「無駄なく行動したい」
「全部の時間を有効に使いたい」
そんな気持ちに駆られることがある。
でも、実は──
セッションにとって一番大事なものは、ぎっしり詰まった情報量ではない。
“余白”だ。
- 誰かがふと黙った時間
- 何も起きない夜のシーン
- 無言で歩く移動の時間
- NPCと交わす、意味のない雑談
そんな「何も起きていない瞬間」にこそ、
キャラクターたちの心や関係が、静かに、でも確かに育っていく。
2. 余白があるから、感情は動ける
感情は、常に物語の中心にあるわけじゃない。
「間」や「沈黙」の中でこそ、自然に立ち上がってくる。
- 事件の直後、ぽつりと漏らすひとこと
- 何もない夜に、キャラ同士がぽつんと並んでいる姿
- うまく言葉にできない感情を、視線だけで交わす瞬間
こうした“何もしない時間”が、
キャラクターに血を通わせ、
プレイヤーに「この物語は生きている」と思わせる。
ずっと事件を追って、謎を解いて、戦って──
それだけのセッションは、効率的ではあるかもしれない。
でも、「生きていた」手ごたえは、そこには宿りにくい。
3. 焦らないこと。無理に埋めないこと。
セッション中に沈黙が訪れると、
つい焦ってしまうかもしれない。
「何か言わなきゃ」
「すぐに行動しなきゃ」
「間をもたせなきゃ」
──でも、焦らなくていい。
無理に会話を続けなくていい。
無理にRPを畳みかけなくていい。
沈黙は、空白ではない。
沈黙もまた、“場に存在している”感情のひとつだ。
だから、
- “動かないキャラ”がいてもいい。
- “何も言えないキャラ”がいてもいい。
焦らず、場に流れる空気を受け止めるだけで、
そのセッションには静かなドラマが生まれている。
4. 余白を受け入れた卓は、強くなる
余白を怖がらない卓は、
一つひとつのシーンに、自然な深さが出てくる。
- 仲間のセリフに、じっと耳を傾ける
- 自分が言葉に詰まったとき、無理に話を続けず、キャラの戸惑いに任せる
- 事件が起きていない日常パートを、キャラ同士の“何気ない時間”として楽しむ
こういう余白が積み重なっていくと、
卓の空気はだんだんと柔らかく、でも力強くなっていく。
そして、ふとした瞬間に、
「あ、この卓、すごく生きてる」
──そんな実感が、自然と胸に湧いてくるようになる。
物語は、作業じゃない。
キャラクターたちが、「生きている」ことそのものだ。
● 最後に
セッションを動かすのは、
行動やセリフだけじゃない。
“間”があり、
“沈黙”があり、
“余白”があるからこそ、
物語は深く、豊かに育っていく。
だから、焦らないで。
すべてを埋め尽くさなくていい。
一瞬の静けさを、どうか怖がらないで。
その沈黙こそが、
キャラクターを育て、
物語を支え、
あなたたちのセッションに、
本物の“ドラマ”を宿してくれるから。
最終更新日:2025年4月29日