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1. ハウスルールは『味付け』であって、『本編』ではない

TRPGを遊んでいると、時々目にするのが「うちの卓では、こうしてるんですけど」という一言。
いわゆる『ハウスルール』というやつだ。

どれも、それ自体は悪いことじゃない。むしろ、「もっと面白くしたい」という意図から生まれる発想であり、創意工夫の証だ。

けれど、ハウスルールは「味付け」であるべきだということは、常に頭に置いておきたい。
本来のルールが分からなくなるような『改変』は、自由を超えて『負担』になる。


2. 自分の卓で試したハウスルールの話

これはクトゥルフ神話TRPG(6版)の話になるけれど、自分の卓でもかつてちょっと凝ったハウスルールを採用していたことがある。

「アイデア、幸運、知識」などの『特殊ステータス』がクリティカルまたはファンブルしたとき、それぞれ対応する『技能群』から1つ選んで成長チャレンジができる。

──というルールだ。

「直接技能じゃない出目も成長に繋がったら嬉しいよね」という気持ちで入れたもので、最初のうちは「発想が面白い!」と好評だった。

……けれど、現実はやや違った。

──処理が煩雑になり、次第に誰も触れなくなった。

面白くても、難しいと使われない。
この体験は、ハウスルールの『限界』と『現実』を教えてくれた。


3. ルールの『補完』くらいが、ちょうどいい

ハウスルールが機能するかどうかの分かれ目は、「既存ルールをどれだけ崩していないか」だと思っている。

この程度の『補完』くらいにとどめておくと、トラブルは少ない。

とくに初対面のPLや短期卓では、突飛なハウスルールは『壁』になるより先に、『地雷』に見られるリスクすらある。

それは、「自由な遊び方」を否定されているからではない。
「前提が共有されていないまま、未知の環境に連れてこられること」に対する警戒なのだ。

だからこそ、ハウスルールは「その卓の特色」ではなく、「遊びの円滑剤」として使うくらいがちょうどいい。


最後に

TRPGは『自由な遊び』だから、ルールをカスタムするのも自由だ。
でも、その自由はいつでも「参加者の負担と不安の少なさ」とセットであるべきだと思う。

面白いけど、ややこしい。
正しいけど、楽しくない。
そんな風になってしまったら、本末転倒だ。

ハウスルールは、あくまで『補助輪』であり、「これがあると、もう少し気持ちよく走れるね」くらいが、たぶん一番いい。



最終更新日:2025年7月27日