戦闘で“魅せる”には、リアクションが9割

カテゴリ:実践・技術寄りのテーマ / 筆者:キョロ

1. 戦闘は「処理」ではなく「演出」でもある

TRPGの戦闘シーンは、ときに「ゲームの核」と言われるほど重要な場面になる。
どれだけ演出に力を入れたKPでも、戦闘の処理が淡々と進んでしまえば、セッション全体が急に“手続き”になってしまう。

「命中、ダメージ、次、はい回避……」これでは、まるで数値のやりとりにしか見えない。

けれど本来、戦闘はキャラクターの感情と生存本能がむき出しになる場面のはずだ。
言い換えれば、「キャラクターが一番“生きている”瞬間」でもある。

だからこそ、戦闘を“魅せたい”と思うなら、重要なのは「何をしたか」よりも「どう受けたか」──つまりリアクションの部分にある。

2. 行動より、リアクションが記憶に残る

たとえば、自分のキャラが攻撃を受けたとする。「回避失敗」「ダメージ6」──処理としてはこれだけだ。でも、ここに“リアクション”をひとつ加えるだけで、場面は劇的に変わる。

「……ッ! くそ、今の速すぎる……!」
「背中を裂かれる感覚に、思わず膝が落ちる」
「血が滲む袖を握りしめて、歯を食いしばる」

こうした“反応の描写”が入ることで、ただの数値処理だった戦闘が、“観て面白いシーン”に変わる。

そして不思議なことに、「当てた瞬間」よりも「喰らったリアクション」のほうが印象に残ることが多い。
人は、強さよりも“もがいている姿”に共感するからだ。

3. 「魅せる戦闘」のコツは、“状況を背負う”こと

魅せるリアクションの裏には、必ず「キャラクターが何を背負っているか」がある。

この攻撃を受けたら、守りたい誰かに近づけなくなる
一度も傷つかずに戦うことが誇りだった
これ以上の戦闘は、自分の心が持たないかもしれない

こうした背景を“持ったまま”戦闘に臨むと、一挙手一投足が物語になる。

そしてその物語は、仲間にも伝染する。
あなたの傷に他のPCが気づき、行動を変える。
反応の中にこそ、物語が宿り、それが“ドラマとしての戦闘”を生み出す。

だから、ただ「攻撃を受けました」「反撃します」ではもったいない。
少しでいいから、“何かを背負った一言”を挟んでみてほしい。

4. うまくやろうとしなくていい。“反応”は本能でいい

ここまで読むと、「演出なんて上手くできない」「かっこいいセリフが浮かばない」と感じる人もいるかもしれない。
でも安心してほしい。魅せるリアクションに“派手さ”や“言葉の巧さ”は必要ない。

必要なのは、たったひとつ。「自分のキャラだったら、どう感じるか」を想像するだけだ。

恐怖に息が詰まる
痛みに笑ってしまう
反撃の隙を探しながら、内心では焦っている

その“反応”を、無理なく、短く、静かに言葉にしてみる。
それだけで、戦闘の熱量は確実に上がる。

そして、あなたがそうして“戦っている姿”を見せれば、仲間たちもまた、“あなたを助ける物語”を始めてくれるかもしれない。

● 最後に

戦闘を“処理”で終わらせるか、“物語”として残すかは、行動そのものより、リアクションにかかっている。

強いセリフが言えなくてもいい。絵になる構えができなくてもいい。
ただ、“キャラとして反応する”ことを意識してみてください。

魅せる戦闘は、リアクションが9割。

その一言、その沈黙、その呻き声が、数値の向こう側に“命”を宿らせるから。

投稿日:2025年4月27日
最終更新日:2025年4月27日

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