『強いキャラ』より『弱さを見せられるキャラ』が刺さる
5/2 2025
カテゴリー:キャラクター論・設定運用

1. 「かっこいいキャラ」には、誰しも一度は憧れる
最初にTRPGでキャラを作ったとき、思わず『理想の自分』みたいなキャラクターを作ってしまったこと、ありませんか?
- いつも冷静で頭がいい
- 戦闘では仲間を守って活躍する
- ピンチの時に誰かを励ませるリーダー気質
- 過去に傷はあるけど、それをもう乗り越えている
そういう『かっこよさ』を詰め込んだキャラは、たしかに頼れるし、ロールプレイもしやすい。
それに、観客として見ていても『わかりやすいヒーロー』は魅力的です。
でも…
それだけだと、心のどこかに『物足りなさ』が残ることもある。
2. 人が心を動かされるのは、『揺らいだ瞬間』だ
誰かのことを「好きになったな」と感じるのは、その人が強かったときより、『脆くなったとき』の方が多かったりします。
- 普段は明るいキャラが、一人のときだけ泣く
- 無表情なキャラが、少しだけ口ごもる
- 仲間をかばって冗談を言うけれど、声が震えている
- 信念を語るけど、その裏に迷いが見える
そういう『弱さがにじんだ一瞬』に、「このキャラ、ちゃんと人間なんだな」と思える。
強さだけでは届かない、『共感』という感情に火がつくのは、たいていそのキャラの『弱さ』を知ったときなのです。
3. 弱さを見せることは、プレイヤーとしての技術でもある
TRPGでは、自分のキャラを演じるだけでなく、他のプレイヤーに「見てもらう」ことも、ひとつの演出です。
だからこそ、「弱さをどう見せるか」は、感情の演出として非常に大きな意味を持つ。
たとえば──
- あえて失敗してみる
- 強がってみせたあと、NPCがいなくなったところでだけ俯く
- 「平気」とは言葉で言いつつ、手足が震えている
- 傷ついた仲間に、何も言えずそっと背を向ける
こういった演出は、『完璧じゃない自分』を見せる勇気があってこそできる。
そしてそれは、卓にいる誰かの心にそっと残る。
「あのキャラの、あの瞬間、忘れられないんだよね」
そう言われるキャラって、たいてい『強かった』んじゃなくて、『弱さが美しかった』キャラだったりする。
4. 弱さは、キャラを『物語に繋ぐ鍵』になる
強いキャラは、自立していて『単体で完成されている』ことが多い。
でも、弱さを持つキャラは、誰かと関わることで初めて『完成』する。
- 支えられて変わる
- 受け止められて言葉にできるようになる
- 怒られて、初めて逃げていた自分に気づく
そういう変化が起きたとき、キャラの成長は『物語の中で生まれる』ことになる。
つまり、弱さを見せるというのは、「私はひとりじゃ完結しない存在です」と言えることでもある。
そしてそれは、TRPGという『共演』の場では、とても、とても大切な美しさになる。
最後に
「強いキャラ」を作るのは楽しいし、誇れることです。
でも、それだけじゃ届かない場所がある。
誰かに見られることを前提に、あえて弱さを見せる。
それはとても勇気がいる選択です。
けれど、物語の中で誰かがその弱さに気づき、寄り添ってくれたとき、そのキャラクターは『心に残る存在』になります。
完璧な強さより、誰かと関わってしまう脆さの方が、人の心を動かす。
だから、時には『ブレてみる勇気』を、キャラに与えてみてください。
それだけで、物語はもっと深くなる。
そのキャラは、もっと誰かの記憶に残る存在になります。
最終更新日:2025年5月2日